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伝送路の広帯域化やセンター設備の省スペース化を図るCATV伝送システム【住友電気工業】

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 住友電気工業(以下、住友電工)は通信分野で長年の実績があるIP技術に加え、CATV市場で培ってきたRF技術を併せ持っており、IPとRF双方でヘッドエンドから加入者端末までのソリューションを自社で提供できる点が、顧客から高い評価を得ている。
 今回、ブースでは「Innovative Standards~高度化CATVシステムの未来を見据えて~」をテーマに、先端技術を取り入れた最新の通信・放送統合ソリューションを展示。実装効率に優れた高度BSトランスモジュレータや、高度BSをパススルー伝送する3.2GHz放送用光伝送システム、そして豊富な製品ラインアップが特長の10G-EPONシステム、STBなど、最新の高度化CATVシステムが紹介される。

3Uの筐体に高度BSの5トランスポンダと従来BSを併せて実装

 住友電工が新たに提案する高度BSトランスモジュレータは、新型3Uのサブシャーシ筐体に最大で12ユニットを実装できる。ユニット1台で高度BSの1トランスポンダ分(4K放送3番組、もしくは8K放送1番組)の送出が可能であり、業界最高水準の高密度実装と考えて良いだろう。住友電気工業 ブロードネットワークス事業部 CATVシステム部 部長補佐の粟井宏光氏は「この筐体1台で、高度BS放送で予定されている5トランスポンダ分をカバーできる。予備用のユニットを1つ入れても更に6ユニット分のスペースは空いている。空いた分は将来の拡張用としても良いし、2K-BSトラモジ用ユニットの同時リリースを予定しているので、2K-BSトラモジ用ユニットを入れて既存設備の更改に役立てることもできる。従来製品と比べてヘッドエンド設備の省電力・省スペース化に繋がる」と説明している。
 また、高度BSトランスモジュレーション方式には、運用に応じて単一QAM変調方式と複数QAM変調方式があるが、この装置は双方に対応している。複数QAM変調方式では256QAM×3波(8K放送1番組)または、64QAM×4波(4K放送3番組)を送ることができる。出力周波数は任意で設定することできるため、空き帯域を利用して高度BS再放送サービスを展開できる。更に、IP入出力機能が備わっているので、BS-IF信号のIP局間伝送が可能だ。複数の拠点をつなぐことで安定したサービスが提供できるようになる。
 粟井氏は「12月1日の高度BS放送開始に合わせて、再放送サービスを展開されるCATV事業者では準備が進んでいる。遅くても11月には装置を設置する必要があることから、多くのCATV事業者様からお問い合わせをいただいている」と話す。

高度BSトランスモジュレータの実装イメージ

高CNR/低ノイズを実現する高度BS対応シグナルプロセッサ

 高度BS関連の新製品では、パススルー向けにシグナルプロセッサも紹介される。再変調方式を採用しており、雨天などの影響でCNRが悪化したIF信号を復調・再変調できるので、高CNRで低ノイズのBS/CS-IF信号のパススルーサービスが提供できる。また予備機実装により、N+1や1+1の自動バックアップ構成にも対応可能だ。粟井氏は「高度BS放送の変調方式16APSKおよび符号化率7/9に対応している。パススルーで大きな課題となる低CNRを解決できる製品としてご提案していく」と話す。

高度ケーブル自主放送システムを2モデル提案

 高度BSが展開されていけば、ケーブルテレビの多チャンネル放送においてもACASやHEVCを取り入れていくことになる。高度ケーブル自主放送(JLabs SPEC-035※パターン1を除く)対応のヘッドエンド装置は、そうした将来を見据えた製品だ。ユニット1台にはIP受信、多重・SI生成処理、QAM変調機能を搭載している。IP入力は冗長化しているため、回線障害時には自動切り替えが可能。更に、予備機の実装によりN+1や1+1の自動バックアップ構成も可能だ。粟井氏は「本装置は2つのモデルで紹介する。一つは、前述の高度BSトランスモジュレータと同じ新型3Uサブシャーシに実装できるタイプ。もう一つは、マルチメディアIP伝送装置MD8000シリーズに実装できるタイプ。どちらも省スペース化に貢献できる」としている。また、同氏は「多チャンネル放送もACASやHEVC を採用することにより、既存のB-CAS、C-CASカードを省くことや将来的には使用する周波数を減らすことができる。高度BS対応のさらに先を見据えた提案として、高度ケーブル自主放送システムを紹介する」と説明している。

映像コンテンツの高度化によるIPトラフィック増加を見据えた10G-EPON

 住友電工の10G-EPONは、北米MSOや日本のCATV事業者による導入・トライアルの実績が増えおり、そのノウハウには一日の長がある。粟井氏は「コンテンツの大容量化に伴い10Gの需要は高まっている。そして将来的には放送のIP化やOTTの4K/8Kコンテンツ増加、更にはIoT等によるトラフィック増加が見込まれていることから、これらの需要に対応するために10Gを導入したいというCATV事業者様が増えている」と話す。
 同社の1G/10G-EPON製品は、2017年10月に日本ケーブルラボより「EPON相互接続運用仕様SPEC-027 1.1版」の認定を取得している。同社は同認定取得の第一号であり、粟井氏は「米国CableLabsの規格DPoE(DOCSIS Provisioning of EPON)に準拠しており、北米では既に他社製品と相互接続した形で運用されている。今回、日本でも相互接続認定を取得したことで、国内のCATV事業者様にも安心してお使いいただける」と話す。

L3スイッチを内蔵した10G-EPONプラットフォーム「FSU7100」による省スペース化

10G-ONU。下り10G/上り10G 対称型ONU「FTE7757」と、下り10G/上り1G非対称型ONU「FTE7767」を提案している。

 住友電工の10G-EPONプラットフォーム「FSU7100」は、OLTシャーシに1Gと10Gのインターフェースカードを同時に収容できる。下りでは1Gと10GをWDM、上りでは1Gと10GをTDMで多重し1本の光ファイバ上で伝送する。粟井氏は「ラインカードにはトリプレクサが備わっているので、同一の光ポート内に1Gと10Gを混在できる。これによりCATV事業者様は、当面は1GのONUを使い、将来的に必要に応じて10GのONUに置き換えるという流れをスムーズに行えるので、相互接続の利便性と併せてご注目いただいている」と話す。
 筐体にPON信号を集約するL3スイッチを2つ内蔵しており、片側が停止してもサービスを継続できる冗長性と省スペース化の両立を実現している。これにより高額な光モジュールや配線が削減されるので、システム全体のコストも低減されている。10Uの筐体に1Gのポートで最大160ポート、10Gなら最大128ポートと高密度に収容できる点でも、省スペース化に貢献している。

屋外設置の分散型FTTHノードによる、センター設備の省スペース・省電力化

 現在開発中の「分散型FTTHノード(ROSD:Remote Optical Service Device)」は、屋外設置によりFTTHセンター設備の大幅な省スペース・省電力化を図ることができる製品。また、放送系の光アンプを搭載しているので、通信系と放送系の両方における広域なFTTH展開も可能だ。
 ヘッドエンドにある10G-EPON OLTの1ポートを屋外に設置したROSDに接続することで、その先に4ポートの10G-EPON回線(10G/1G)を展開できる。センターに必要なスペースが4分の1となるので、省スペース・省電力化に直結する。屋外に設置されたROSDは、センターで一元管理できる。粟井氏は「ファイバ1本で4ポート×128分岐となるので、約500加入の対応が可能だ。例えば加入率50%の1,000世帯のエリアにFTTHサービスを展開ができる」としており、「1万人以上の加入者が見込める場合はサブセンターを構築すれば良いが、そうでない場合はROSDで代替することによりイニシャルコストやランニングコストの低減を図ることができる。加入者数以外の観点としては、例えば土地のコストが高額な都心部ではセンター設備の省スペース化やサブセンターの敷地を確保するコストが課題となるので、そうしたシーンでもご活用いただける」と説明している。
 ROSDのメリットとしては、長距離対応も大きい。センターからROSDまでの幹線区間は最大80kmで、ROSDから加入者宅のD-ONUまでの距離を短くして伝送ロスを低減することができるため、1ポート当たり128分岐を実現しやすくなる。粟井氏は「ファイバ1本で数十kmの長距離伝送が可能になることにより、離島への対応、そして河川や幹線道路・鉄道を横断しなくてはならないエリアにおけるファイバ布設の負担を軽減することができる」と話す。

高度BSに対応したRF/IPハイブリッドSTB

 住友電工のIP-STBは大手通信キャリアに長年採用されている。
 同社のRF/IPハイブリッドSTBは「Android TV」を搭載しており、映画、音楽をはじめゲームや生活情報などの豊富なアプリケーションをダウンロードできる。Googleのサーバ側には音声認識機能が備わっているので、STBリモコンのマイクで検索することも可能だ。また、RF/IPハイブリッドSTBには放送がIP化してもそのまま使い続けられるメリットもある。
 今回、新たに提案するのは、ACAS、MMT・TLV方式に対応している高度BS対応STBだ。粟井氏は「ブースではAndroid TVを搭載したSTBの豊富なラインナップをご紹介する」と話している。

BN-Tabシステム

 2015年より通信・放送関連機器およびシステムの総合的な保守サービスに特化して取り組んでいるブロードネットマックスからは、タブレット端末を用いて加入申し込み手続きや引込宅内工事報告を電子帳票で対応する「BN-Tabシステム」が紹介される。粟井氏は「書類のペーパーレス化とタブレットの即応性により、加入手続きや引込宅内工事報告の効率化を支援する。書類の紛失・盗難による個人情報流出の防止にも役立つシステムだ」と説明している。

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